君が笑うなら。。。
~屋上~

日比野達は晴れれば基本的に屋上でお昼御飯を食べる。
屋上には他にも複数の生徒達もいる。意外に屋上はお昼の人気スポットのようだ。
日比野達は縁石に座って待っている神田に手を挙げた。

神田「遅い・・・」

神田は先に屋上で待っていたようだ。

中西「悪い悪い!購買、めっちゃ混んでてさぁ!」

中西が謝りながら神田の前に座る。
日比野も中西の横に座る。

日比野「あぁー腹へった!」
神田「それはこっちのセリフだ。」

日比野は買ったパンに早速、かぶりつく。

中西「にしても少し暑くなってきたよな。」

手で顔をあおぎながら言う。

神田「まぁ、夏も近づいてきてるし、当たり前だろ。」
中西「ですよねぇ~」

屋上にはさんさんと日が差し込む。当然、遮るものなどはないので暑いに決まっている。

日比野「結局、夏もここで飯食うんだろ?」

パンをモグモグさせながら言う。

神田「去年もそうだったな・・・今年は教室でもいいかもしれんな、あと口に物を入れて喋るな。」

弁当をつつきながら日比野に注意をする。

中西「相変わらずお前はお母さんか!」
日比野「全くだ。」
神田「マナーの話だ、当たり前だろ」

冷静に答える神田。
どうでもいい会話をしながら昼食を済ます。

日比野「ところで何でお前は杉浦と高石が幼なじみとかの情報を知ってんだ?」

購買での話を思いだし中西問いかける。

中西「高石っちから聞いたんだよ。」
神田「お前はホント誰とでも仲がいいんだな。」

中西は学年内でも割りと顔が広く色んな課の生徒と顔見知りだ。

日比野「というか何でそんな話になったんだ?」

お茶を飲みながら問うと中西はんーっと両手を組み考えた。
あっ!という顔をしてから話はじめた。

中西「あー!そうだ!何気に杉浦さんってさ謎が多いじゃん!それで何か気になったんだよね~だからさぁ、いつも話かけてる高石っちに聞いてみたんだよ。杉浦さんってどんな人?って。」
日比野「お前は昔から好奇心旺盛な部分だけは変わってないよな。」
中西「だって気になんじゃん!いつも1人だし、なんもしゃべんねーしさ。」
神田「お前ですら話した事がないのか?」
中西「そだな、話かけてみても無視だし。」
神田「ほぉ・・・なら元気はある意味レアだな。」

ニヤリとしながら日比野をみやる。
日比野は、は?という顔をしながら神田を見る。

日比野「なんでレアなんだ?」
神田「だって初対面に近い状態で会話しただろ?」

さっきの罰ゲームの話である。

日比野「あれは会話ではなく罵倒だ。」
中西「ダハハ、そうだな。でも杉浦さんの声初めて聞いた。」

中西の発言にびっくりする日比野。

日比野「同じクラスだったのに声聞いたことないのかよ。」
中西「うん、だってさっきから言ってるけど喋らないんだからさ。」

そんなに喋らないのか?っと心の中でふと思う日比野。確かにクラスが一緒になってからまだ1週間もたっていないが声を聞いたのはさっきが初めてだった。

日比野「あ、ところで高石から聞いた杉浦ってどんなやつだった?」

話が横に逸れたのを思いだし話を戻す。

中西「そだなぁー、とりあえず無口で無愛想だけど別に人嫌いというわけでもないらしい、だけど友達を作る気が全くないんだとさ。」
神田「あの態度からしてそうだろうな。」

相づちをうつ神田。

日比野「何でだ?別に人嫌いじゃないんなら友達作ればいいじゃん。」
中西「そうだけど・・・まぁ、何か事情あんじゃねぇーの?」

あまり興味がない感じで答える。

中西「ていうか杉浦さんの事、気になんの?」

不意打ちの発言に日比野は少し戸惑う。

日比野「べ、別にそんなんじゃねーよ」
神田「いや、気にはしてるだろ、だってあんな冷たい態度とられたんだし。それに俺も何か興味わいたな、今の話聞いて。」

弁当箱を片付けながら神田はフフっと微笑む。

神田「まぁ、元気が気になってるのは他の理由かもだがな。」

そう言われた日比野は顔を赤くした。

日比野「だ、だからそんなんじゃねーよ!」
中西「ならしつこく話かけてみろよ。もしかしたらなんらかのアクションあるかもだぜ!」

そういうと立ち上がり屋上の出口に向かう。

日比野「だ、だからぁー・・・」
中西「んじゃ、教室戻るべ!」
神田「そうだな。戻るか。」

なかばいいかけの言葉を口に残し日比野は中西達の後を追うように屋上を後にした。
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