怖い短編集
母は目をつり上げ、
ズカズカと僕に近づいてきて、
僕を上から見下ろすと、
何も言わずに、
僕の頬を思いっきり叩いた。
強烈な平手打ちを食らった僕は、
床に倒れ込み
うつ伏した。
僕は痛くて、燃えるように熱い左の頬を押さえながら、
涙目で、
母の顔を見つめた。
「あんた私のこと
バカにしてるだろ!」
僕は怯えながら、
もうこれ以上、
母に殴られたくない一心で、
懸命に首を横に振った。
母は憎しみのこもった目で僕を見下ろし、
もう一度、
僕の左頬を叩いた。
僕は、
さっきよりもさらに勢いよく
床に倒れ込み、
額を床にぶつけた。