怖い短編集
僕は口汚く
罵られ、
蹴られ、殴られ、泣いていた。
ようやく母の怒りが
収まり、
母が部屋から出ていった頃、
僕のシャツは、
僕の血で赤くなっていた。
僕はこんな家から
早く出て行きたかった。
でも僕には、
この家しか
帰る場所がなかった。
親は子供を
愛しているっていう
偽りの言葉は、
誰が最初に口にしたのだろう。
大人たちは、
いつも嘘をつく。
だって、
親は子供を
愛してなどいないから……。