怖い短編集
僕は下を向きながら、静かにブランコを揺らしていた。
そして僕の隣りでは、
見知らぬ女の子が、
下を向きながら
ブランコを揺らしていた。
そしてそのまま
僕たちは言葉も交わさず、
下を向きながら、
それぞれのブランコを揺らしていた。
僕はいつものように
考えごとをしながら、
時間が過ぎていくのを待った。
家に帰ったら、
今日もきっと
殴られる。
だからといって、
時間が経てば、
いつかはあの家に
帰らなくてはならない。
逃げ場のない毎日。
僕はいったい
どうすればいいのだろう。