怖い短編集
僕が家に帰ろうと、
ブランコから降りたとき、
隣りのブランコには
まだ右頬にアザがある女の子が座っていた。
その女の子は、
さみしそうに
ずっと下を向いていた。
この女の子は、
こんなに長い時間、
ブランコに座って
何を考えているのだろうと
僕は思った。
悲しそうな顔をした
その女の子は、
まだ家に帰らないのだろうか?
僕はそんな疑問を
胸に抱えながら、
今日も帰りたくない場所に
歩き出した。
僕は憂うつな気持ちで
顔を歪め、
キリキリと痛むお腹を
右手で押さえた。