怖い短編集

父と母の言い争いは、日に日にエスカレートしていた。




二人は完全に、
憎しみ合っていた。




僕は部屋の隅で
二人が争う様子を見ながら、
怖くて息をひそめていた。




いつ事件が起きても不思議ではないほどに
いがみ合う二人の様子を見ながら、
僕はいつになったら
この地獄から抜け出せるのだろうと思った。




父と母が争ったあとの部屋は、
手の施しようがないくらいに
めちゃくちゃになっていた。




そしていつものように、
父は家を出て行き、
母は泣きはらした赤い目を僕に向けた。




僕は恐ろしくて
身を堅くした。




また今日も
僕は母に
殴られ続けた。