怖い短編集
私はその日、

一睡もできないままに

朝を迎えた。








私は、

朝の六時に

いつものように朝食を作り始め、

夫の浩史が起きてくるのを

待った。








昨日と同じような朝を

私は精一杯、演出していたが、

昨日と今日とでは、

決定的に違うことが

一つだけあった。








〈 昨日の私は、

一般市民。







今日の私は、

犯罪者…… 〉








夫の浩史が起きてきて、

リビングに入ってくると、

私の体中に緊張が走った。








私はこの人を

いったい、いつまで

騙し通せるのだろう?
< 6 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop