怖い短編集
家には
帰りたくない。
でも僕は、
父と母がいるあの家にしか
帰ることができない。
時間が止まって欲しい。
もしくは、
あっという間に時間が過ぎ去って欲しい。
その日、家に着くと
いつものように、
父と母が言い争いを始めた。
僕はその様子を
部屋の隅で
怯えながら
見ていた
そしていつものように
父が家を出ていくと、
母は鬼の形相で
僕を殴った。
これが僕の日常だった。
夢もない。
希望もない。
僕にあるのは、
諦めと絶望だった。