怖い短編集
僕は学校が終わると
家には帰らず、
毎日、近所の公園に向かった。
僕はできる限り
父と母がいる家を
避けていた。
僕が毎日、
公園のブランコに行くと
僕より先に、
右頬にアザがある女の子が必ずいた。
ある日、僕が
いつものようにブランコに座ると
右頬にアザがある女の子が、
僕に話しかけてきた。
「いつもここで会うね。
家、近いの?」
僕は突然話しかけられたことに驚いたが、
僕はとなりのブランコに座っている女の子を
ちらりと見て
女の子に言葉を返した。
「うん、僕の家は
すぐ近くだよ」
「どうしてすぐに帰らないの?」
「僕はあまり
自分の家が好きじゃないんだ」
「どうして?」
右頬にアザがある女の子は、
僕の顔を覗き込んだ。
「僕の家は、
お父さんとお母さんが、
ケンカばかりしているから」