怖い短編集
「私、お父さんが嫌いなの。
それに、お母さんも嫌い。
あの人たちは私を見ると、
いつも不機嫌になって、
私を殴るの……」
僕は、自分の境遇と
とても近い女の子を見て、
自分だけじゃなかったんだと思い、
うれしかった。
僕は、この女の子となら
友だちになれるような気がして、
右頬にアザがある女の子に話しかけた。
「ねぇ、
僕に名前を教えてくれない?」
僕がそう言うと、
右頬にアザがある女の子は、
初めて僕に笑顔を見せた。
「私の名前は、
佐々木明日香。
私の家も、
この近くなの」
「そうなんだぁ。
僕は島田徹っていうんだ。
なんだか僕たち、
友だちになれそうだね」
僕はそう言って、
明日香に笑顔を見せた。