怖い短編集
僕のつらいだけの毎日に
楽しみができた。
僕は学校が終わると、
すぐに公園のブランコに向かった。
新しくできた僕の友だち、
佐々木明日香は、
いつも僕より先に
公園のブランコに座っていた。
明日香を見ると僕はうれしくて、
走って明日香のところに行き
となりのブランコに座った。
僕は明日香のとなりにいるだけで
何だかとてもうれしくて、
ブランコを揺らしながら、
たくさん明日香に話しかけた。
家のこと
学校のこと
お父さんやお母さんのこと……。
僕が今まで、
一人で悩み
苦しんでいたことを
明日香に話すと、
僕の胸はスッと軽くなって、
僕は自然に笑っていた。
僕たちはいつも、
日が暮れるまで
公園のベンチに座っていた。
時間が止まって欲しいと、
僕はいつも思っていた。
明日香との楽しい時間が終わり、
父と母と顔を合わせる時間がやってくる。
僕は日がどっぷりと暮れると、
力なく立ち上がり、
家に向かって歩き出した。