怖い短編集

僕の毎日の楽しみは、
公園のブランコで
佐々木明日香と話すことだった。




学校が終わり、
僕が公園のブランコに行くと、
明日香は必ず僕よりも先にそこにいた。




僕と明日香の会話は、
互いの家庭のことが多かった。




「私の家ね、
いつもケンカが絶えないの……。


お父さんがお母さんを殴って、
それに逆上したお母さんが、
包丁を持ってリビングにきて
お父さんに『殺してやる』ってすごむの……」




「つらいね……。


どうして大人って、
自分勝手なんだろう……。


自分たちが、
好きで結婚したはずなのに……」




「あんな親の子どもに生まれなければ良かった。


いいことなんて
何もない……。


毎日がつらいだけ……。


毎日、死んでしまいたいと思って……」




「明日香ちゃん、
死のうと思うのは、
間違ってるよ。


僕たちだって、
大人になれば……」




「そうよね。


私たちだって、
大人になればきっと幸せになれるよね」
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