怖い短編集

「それじゃ私、
徹くんに私の大切なものをあげるわ」




明日香はそう言って、
背中に背負っていたランドセルをおろし、
ランドセルの中から小さな箱を取り出した。


そして、明日香がその小さな箱の蓋を開けると、
箱の中には、色とりどりのきれいな貝殻が入っていた。




「わぁ、きれいだね」




僕は思わず、声を上げた。




明日香が持っていた貝殻は、
僕の目には、七色に輝く宝石のように見えた。




「明日香ちゃん、
本当にこれを僕にくれるの?」




明日香はそう言った僕の顔を見て笑った。.




「徹くんにだから、
私の大切なものをあげるわ


私たちは、友だちだから」
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