怖い短編集

「徹くん、明日もこの公園のブランコで会おうね」




明日香は僕の顔を
笑いながら見つめて、
もう一度僕にそう言った。




僕はそのことがうれしくて、
僕も笑いながら、
明日香に言った。




「うん、明日香ちゃん。


僕たち、明日もこの公園のブランコで会おうね」




僕は、ほんのつかの間、
幸せを感じていた。




僕には今、
大切な友だちがいるから……。




日が暮れてしまった公園の中、
僕は、帰りたくない家へ向かって、
仕方なしに歩き出した。




今日も父と母は、
ケンカを始めるのだろうか?




今日も母は、
僕のことを殴るのだろうか?




僕は公園の出口に立つと、
家に帰ってからのことを思って不安になり、
明日香がいるブランコの方を振り返った。
< 77 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop