怖い短編集
「徹くん、明日もこの公園のブランコで会おうね」
明日香は僕の顔を
笑いながら見つめて、
もう一度僕にそう言った。
僕はそのことがうれしくて、
僕も笑いながら、
明日香に言った。
「うん、明日香ちゃん。
僕たち、明日もこの公園のブランコで会おうね」
僕は、ほんのつかの間、
幸せを感じていた。
僕には今、
大切な友だちがいるから……。
日が暮れてしまった公園の中、
僕は、帰りたくない家へ向かって、
仕方なしに歩き出した。
今日も父と母は、
ケンカを始めるのだろうか?
今日も母は、
僕のことを殴るのだろうか?
僕は公園の出口に立つと、
家に帰ってからのことを思って不安になり、
明日香がいるブランコの方を振り返った。