怖い短編集
〈 あれっ? 明日香ちゃん…… 〉
僕はブランコの方を振り返って、
驚きのあまり、その場に立ちすくんだ。
さっきまでいたはずの明日香が、
まるで消えてしまったかのように、
ブランコには誰もおらず、
明日香が座っていたブランコだけが
静かにそっと揺れていた。
僕は公園の出口から辺りを見回し、
明日香を探した。
でもやはり、明日香の姿はどこにもなくて、
暗がりの公園にいるのは、
僕一人だった。
〈 明日香ちゃん…… 〉
僕は、心の中で呟いた。
〈 僕たち、明日もこの公園のブランコで会えるよね 〉
僕はそう思って前を向き、
暗がりの公園をあとにした。