怖い短編集
僕の家では、
父と母のケンカが
日増しにエスカレートしていた。
感情をむき出しにして
いがみ合う父と母。
僕は毎日、
怯えながらその様子を見ていた。
部屋の中に響く
父の怒鳴り声。
そのあとに続く
母の悲鳴。
これほどまでに憎しみ合いながら、
二人が同じ家にいる理由は
何なのだろう?
一方的に殴られていた母の目に、
殺意がこもっているのを
僕は見逃さなかった。
父を見る母の目が、
「いつの日か殺してやる」と
音も立てずに
語っていた。
僕は正直、
怖かった。
この家の中に、
日増しに憎しみがたまっていくのを
僕は肌で感じていた。
もう僕たち家族の関係は、
修復できないって……。