怖い短編集
つらい毎日の生活の中で
僕の心の拠り所は、
友だちの明日香だった。
僕は毎日、
公園のブランコで明日香に会い
家の中での出来事を明日香に話した。
父が母を殴ること。
母が僕を殴ること。
僕たちの仲は、
もう修復不可能だということ。
僕はそのことを明日香に話すと、
少しだけ気がまぎれて
心が軽くなった。
明日香はいつも
僕の家のことを
まるで自分の家のことのように
真剣に考えてくれた。
僕が自分のことを
ちゃんと話せるのは、
明日香しかいなかった。
明日香は僕の話を一通り聞くと、
真顔で僕にこう言った。
「徹くん……、
徹くんの家は、
もう危ないかもしれない……」