怖い短編集
僕は明日香の言葉に、
ハッとして驚き、
思わず明日香の顔を見つめた。
「明日香ちゃん、
それどういうこと?」
「徹くんのお母さん、
もう限界なのかもしれない……。
そのうち、
してはいけないことをしてしまうかもしれない……」
僕は明日香の言葉に
背筋が凍りついた。
「してはいけないことって……、
それって、いったい何?」
「徹くんの体のアザが、
前よりもずっとひどくなってるわ。
私にはわかるの……、
徹くんのお母さんの中で、
憎しみが日増しに大きくなっているのが……」
僕にもそのことはわかっていた。
でも、だからと言って……。
僕は明日香の言うことを
心から信じることができなかった。