怖い短編集
その日も父と母は、
激しく言い争いをしていた。
僕がその様子を
怯えながら部屋の隅で見ていると、
父はいつものように、
母を殴り、
母は殺意のこもった目を
父に向けていた。
そして父が母を蹴飛ばし、
母がテーブルの上に倒れ込んだとき、
母はテーブルの上にあったガラス製の灰皿を手に取り、
父の顔めがけて投げつけた。
そしてそのガラス製の灰皿は、
父の顔をかすめ、
勢いよく壁にぶつかり
鈍い音を立てて、
割れてしまった。
「あんたなんて、
死んじまえばいいのに。
甲斐性なしのくせに!」
母がヒステリックにそう言うと、父の顔つきがガラリと変わった。