怖い短編集
父に怒声を浴びせらた母は、
目を真っ赤にして
泣いていた。
僕は、母の涙を見て
母の気持ちを考えていた。
母はなぜ泣いたのか?
悔しくて泣いたのか、
つらくて泣いたのか、
それとも、自分の無力さを嘆いて泣いたのか。
でも僕は、
ポロポロと大粒の涙を流す母を見て、
いつもとは違う空気を感じ取っていた。
「オレは、お前のその不満気な顔を見ると、
うんざりするんだ!
お前はその目で、
その表情で
いつもオレを批判している!
お前は、何様のつもりなんだ?
お前は、オレを批判できるほど
偉いのか?」