怖い短編集
明日香と話しているうちに、
いつの間にか日が暮れて
その日も
僕が帰らなくてはならない時間になっていた。
僕のお腹は
またキリキリと痛くなった。
「明日香ちゃん、
僕はもう、帰らなくちゃ……」
「帰っちゃダメ!」
僕は明日香の予想もしていなかった言葉に
ドキリとして
明日香の顔を見た。
「今日だけは、
帰らない方がいい。
せめてあと2時間だけでも」
「でも明日香ちゃん、
僕はもう帰らないと
またお母さんに叱られるから……」
「徹くん、
今日だけはダメよ!
取り返しのつかないことになるかもしれない」
「でも、明日香ちゃん……」
「ダメなの!
今日だけは、
絶対にダメなの!」
明日香が大きな声で
そう叫ぶと
僕は驚いて
明日香の顔を見つめた。