変わらない恋の歌
「心ー」
一番仲のいい夢歌が
泊まりに来た。
その子も彼氏はいなく、
同じような思い。
でも違うのは、
叶わぬ恋をしてるという事。
「取りあえず家族にはあげたよ。でもやっぱお兄ちゃんには渡す時辛かった。」
そう涙ながら話してくれた。
夢歌が恋している相手は、
自分の兄。
誰にも話さず、
心にだけ打ち明けてくれた秘密。
フラれた事に落ち込んでいた自分を惨めに思った。
「心は?」
といわれた。
「好きな人はいるよ?
でも好きになっちゃいけない人だから、あげなかった。」
「お互い辛いね。」
でも夢歌は、
辛いというより
むしろ幸せそうだった。
「想いは伝えない。
だから、
お兄ちゃんより
夢中になれて
私を幸せにしてくれる人を
待つ事にしたの。
でもそれまでは、
お兄ちゃんを好きでいたい。
忘れられるまでね。」
その笑顔が寂しかった。
でも、
その夜は
一晩中恋バナに
花を咲かせた。