笑う門には福来たる!!
その夜

誠十郎は、屯所に泊まることになっていた



「ええいっ儂を馬鹿にしおって!!」



酒に酔い、芹沢が暴れた



「芹沢さん!!やめろって!!」



誠十郎の止めるのも聞かず、暴れる



「芹沢さん!!」

ドンッ

「いてっ」



芹沢に突き飛ばされた誠十郎が、壁にぶつかる

その音と声に、芹沢が誠十郎の方へ

向きを変えた


「すまん…誠十郎」


すぐに芹沢が誠十郎の肩を掴み、立たせる


「いいよ…どうしたの?
芹沢さん…やなことでもあったのか?」


「すまん…」


「部屋、戻ろう?」


「そうだな…」



八木邸に戻っていく二人を

ため息交じりで見送った



「あの人に酒は、飲ませられねぇな」



「うむ、誠十郎君が居てくれなければ
誰も止められなかったな」



「誠十郎君の負担が心配ですね
誠十郎君は、心が不安定ですから
芹沢さんに巻き込まれなければいいんですがね」



土方、近藤、山南は、それぞれ


違う心配をした




山南の心配が的中したのは、翌日のこと

朝から酒を飲み、暴れた


愛人の梅が、止めに行くが


さらに不機嫌になり、誠十郎も止められなかった


昼過ぎまで、暴れまくり


芹沢が酔い潰れて眠る頃


井戸で、誠十郎が踞っていた


申し訳ない気持ちで、土方と沖田が近づく


「すまねぇ…」

「芹沢さん…どうしちゃたんでしょうね」


土方が誠十郎の背中に手を置く


「辛いなら、しばらく屯所にこなくていいぞ?」

「芹沢さんを止めたい…」

「それは、僕も同じ気持ちです」

「俺…どうしたらいい?」

「誠十郎、皆で考えよう」

「そうですよ」

「俺の… せいかな…」

「誠十郎?」

「俺…俺の…」

「違います!!何言ってるんですか!!」

「俺のせいで」

「違う!!お前のせいじゃねぇ!!」

「うっ」

誠十郎が鼻に手をやる

ダラダラと鼻から血がでてくる


「おい!!山崎呼んでこい!!」


「平気ですよ…いつものことだから…
ほっといて下さい」


誠十郎が手拭いで、鼻を押さえたまま

立ち上がる


「帰ります…」








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