笑う門には福来たる!!
翌日
中垣呉服へ
「誠十郎とお付き合いをさせて貰っています」
挨拶に行くと、父親が顔を引きつらせ
「土方さんが…誠十郎の思い人ですか」
「誠十郎は、思い込みが激しいから
父親に嫌われたと思って
多分、ヤケになっています
どうか、話を聞いて貰えませんか」
「別に、女子だから叩いた訳じゃありません
隠していたことや、お澄の事を考えたら
相談くらい、出来たのではないかと
そんなに、私を信用出来ないのかと
悔しくて…」
「早くに言えば、叩きませんでしたか?」
「それは……叩いたと思います」
「どちらにしても、そうなる
嫌われると思い、言い出せなかったんです
どうか、一緒に来て下さい」
土方の説得に、誠十郎の両親が応じ
藤十郎を隣へ預け、共に誠十郎のいる店へ
女将にも頼み、話し合いの場に同席して貰う
「誠十郎、ご両親はおめぇに相談して欲しかったそうだ」
「うちは、君菊どす」
土方にも冷たく当たる
「誠十郎、どうして話してくれなかった」
「君菊や言うてます」
「意地張ってんと、素直に思っていること言いなはれ」
「うちは、そちら様の息子やない
君菊どす
期待に添える生き方は、出来まへん
どうか、忘れて下さい」
「跡取りとして、お前に厳しくした
お前が店を継ぎたいと言ってくれれば
女子でも、お前にやった
お前が藤十郎を跡取りにと頼んだのだろ」
「父上は、店さえ無事ならええんやろ?
店の事は、藤十郎が居てはる
誠十郎は、おらんかった
それでええやないの」
「誠十郎!!」
「今さら、息子が女やったなんて
世間にいえへんやろ?
とんだ恥さらしやわ
うちは、中垣の家を出たんどす
もう、忘れて下さい」
「誠十郎!ちゃんとこっちを見て!!
自分がどんな酷いことを父上に言っているか、見て言いなさい!!」
言い合いが続く中
土方が優しく言った
「誠十郎のご両親に、ちゃんと認めてもらいたいんだ
大事な子供を嫁に貰うんだ
俺は、誰に後ろ指を指されてもいい
だけど、誠十郎のご両親には
きちんと祝福されたい」
「そやったら、土方さんとの縁も
今日までどす
女とも、認めへんのに
祝福やなんて うっ」
胸元を押さえ、息を乱す
女将が背中を擦る
「どないしたんえ?ゆっくり息をし」
両親も土方もオロオロと見守る
「……うちが
女に産まれたんが悪かったんやろ
はぁはぁ やっと
やっと 人並みに幸せになれると
……はぁはぁ 」
バタリと仰向けになり、虚ろな目で天井を
見ては、苦しみ
静かに涙を流した
少し、落ち着き
心配そうに見る両親と土方を見た
体を懸命に起こして
「ほっといて欲しい
もう、誠十郎はおらん
おらんのやから……」
「あんた?子がおるんやないの?」
顔色の悪さや、様子から
女将が言った
「諦めとうないんどす
これだけは……」
「俺の子がいるんだな?」
土方が喜び、手を伸ばすが
「触らんといて!!嫌や!!」
ガクガクと震え
土方を拒み、鼻血を出す
取り出した手拭いで、鼻を押さえながら
背中を擦る女将ものけて
ふらふらと立つ
「君菊!!」 「誠十郎!!」
女将の呼ぶ声も、土方の呼ぶ声も
まるで
聞こえていないように、部屋を出て行った
「明日、うちが話をしてみます
ご両親もあの子をどうしたいのか
少し考えて下さい」
「女将、明日また様子を見に来ていいか」
「土方はんは、父親になるんや、ええよ」
中垣呉服へ
「誠十郎とお付き合いをさせて貰っています」
挨拶に行くと、父親が顔を引きつらせ
「土方さんが…誠十郎の思い人ですか」
「誠十郎は、思い込みが激しいから
父親に嫌われたと思って
多分、ヤケになっています
どうか、話を聞いて貰えませんか」
「別に、女子だから叩いた訳じゃありません
隠していたことや、お澄の事を考えたら
相談くらい、出来たのではないかと
そんなに、私を信用出来ないのかと
悔しくて…」
「早くに言えば、叩きませんでしたか?」
「それは……叩いたと思います」
「どちらにしても、そうなる
嫌われると思い、言い出せなかったんです
どうか、一緒に来て下さい」
土方の説得に、誠十郎の両親が応じ
藤十郎を隣へ預け、共に誠十郎のいる店へ
女将にも頼み、話し合いの場に同席して貰う
「誠十郎、ご両親はおめぇに相談して欲しかったそうだ」
「うちは、君菊どす」
土方にも冷たく当たる
「誠十郎、どうして話してくれなかった」
「君菊や言うてます」
「意地張ってんと、素直に思っていること言いなはれ」
「うちは、そちら様の息子やない
君菊どす
期待に添える生き方は、出来まへん
どうか、忘れて下さい」
「跡取りとして、お前に厳しくした
お前が店を継ぎたいと言ってくれれば
女子でも、お前にやった
お前が藤十郎を跡取りにと頼んだのだろ」
「父上は、店さえ無事ならええんやろ?
店の事は、藤十郎が居てはる
誠十郎は、おらんかった
それでええやないの」
「誠十郎!!」
「今さら、息子が女やったなんて
世間にいえへんやろ?
とんだ恥さらしやわ
うちは、中垣の家を出たんどす
もう、忘れて下さい」
「誠十郎!ちゃんとこっちを見て!!
自分がどんな酷いことを父上に言っているか、見て言いなさい!!」
言い合いが続く中
土方が優しく言った
「誠十郎のご両親に、ちゃんと認めてもらいたいんだ
大事な子供を嫁に貰うんだ
俺は、誰に後ろ指を指されてもいい
だけど、誠十郎のご両親には
きちんと祝福されたい」
「そやったら、土方さんとの縁も
今日までどす
女とも、認めへんのに
祝福やなんて うっ」
胸元を押さえ、息を乱す
女将が背中を擦る
「どないしたんえ?ゆっくり息をし」
両親も土方もオロオロと見守る
「……うちが
女に産まれたんが悪かったんやろ
はぁはぁ やっと
やっと 人並みに幸せになれると
……はぁはぁ 」
バタリと仰向けになり、虚ろな目で天井を
見ては、苦しみ
静かに涙を流した
少し、落ち着き
心配そうに見る両親と土方を見た
体を懸命に起こして
「ほっといて欲しい
もう、誠十郎はおらん
おらんのやから……」
「あんた?子がおるんやないの?」
顔色の悪さや、様子から
女将が言った
「諦めとうないんどす
これだけは……」
「俺の子がいるんだな?」
土方が喜び、手を伸ばすが
「触らんといて!!嫌や!!」
ガクガクと震え
土方を拒み、鼻血を出す
取り出した手拭いで、鼻を押さえながら
背中を擦る女将ものけて
ふらふらと立つ
「君菊!!」 「誠十郎!!」
女将の呼ぶ声も、土方の呼ぶ声も
まるで
聞こえていないように、部屋を出て行った
「明日、うちが話をしてみます
ご両親もあの子をどうしたいのか
少し考えて下さい」
「女将、明日また様子を見に来ていいか」
「土方はんは、父親になるんや、ええよ」