王子な秘書とシンデレラな御曹司
ラスボスとの闘い ②
部屋に戻る前から机の上の内線が鳴り響く音が聞こえる。
副社長は不在か?
走って部屋に戻ると副社長は自分の携帯でお話中。
私は慌てて内線を取ろうとすると
「あ、いいです僕ですから」って、副社長は電話のコードを外してしまった。
えーっ?
ちょっと大事な電話だったらどーすんの?
「待ってて下さい。それから雅さんの携帯を僕に下さい」
自分の電話を適当に終わらせ、副社長は私の携帯を手にして電源を切る。
どうして私のも?
いや勝手に切らないで下さい。
「落ち着くまで切っておきましょう。今、大事な問題が飛び込んで来るのでそれが終わってからにしましょう」
「大事な問題って?」
「そろそろ来ますよ」
副社長はネクタイを直し
ジッとドアを見つめる。
何が来るの?
緊張しながらドアを見ていると
「兄さん!」
フロアが張り裂けるような大きな大きな怒鳴り声を上げ、副社長の弟である俺様副社長がドアを蹴って部屋に入る。
「いらっしゃい敏明」
副社長は余裕で笑ってるけど
その目は鋭くピリピリしていた。
「なんだこれは!」
もうひとりの副社長は怒りに震える声を出し、男らしい顔を真っ赤にして副社長に小さな物を投げつけた。
それは手のひらに収まるくらいの小さな物で、一度机の上で跳ねてから私の足元に飛んでくる。
パンプスの先に落ちたものは
私が無くした
三食団子のUSBメモリーだった。