強く儚く
サクサクと静かに歩いて来た青年二人。
その青年の一人が私と目が合い、あれえ?とニンマリ笑う。

「こんな時間に、先客がいたなんて…驚きですねえ、一くん?」

「そうだな。普通この時間帯に先客など居ないはずだが」

二人は私の前に現れた。

先ほど差し込んだ月明かりによって、二人の姿がくっきりと分かる。

一人は…一と言っていたから、三番隊組長の斎藤一だ。

斎藤一といえば居合いの達人。

左利きで無口だと言われてる。

そしてもう一人……。

「あなた、女子ですよね?何故こんな時間に一人でいるんですか?」

「それは……私の方が聞きたいくらいよ」

「「は?」」

にこりと笑う私に驚いている二人。
この人、私の推測だけど間違いない。

彼は多分、一番隊組長の沖田総司だ。

沖田総司といえばかなり強い剣客。

私のことをきっと怪しんでるに違いない。

私は彼らに近づいた。

するとチャキッ、と刀に手をかける音がする。
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