突発性恋患い

「お～い、HR始めるぞ!」

今日も教室に大き過ぎる声が響く。
因みにこの声の主が、我らが担任、大宮先生だ。
国語の現代文の先生でもある。

「先生!転校生が来るって本当ですか!?」
「教えて下さいよ、先生!」
「先生は教えてくれるよね?!」

皆が、ここぞとばかりに先生を質問攻めにしている。
何故か、皆がいつもより生き生きしているように感じる。先生、御愁傷様です。

「あぁ、もう!転校生なら廊下に居るぞ!」

痺れを切らした先生が、大声で言った。
その声と同時に、クラス中に歓声が沸き起こる。

_だが一方_
「…転校生ごときによくはしゃぐよなぁ。」

やはり、織生は冷めていた。
転校生を見たかもしれないが、それを差し引いても尚、織生は冷めていた。
まるで、ラテンのように盛り上がる場に、氷山が立っているような温度差だった。
だが、そこに、先生の声が聞こえた。

「あぁ、もう!転校生なら廊下に居るぞ!」

「げっ……」

その一声に、織生の温度はますます下がった。