突発性恋患い
「はいはい、静かにしろ~」
先生が大声で怒るけれど、転校生という話題の前には意味をなさない。
「お~い、入って来て良いぞ。」
大宮先生のその言葉と共に、教室は静まり返った。
そこに颯爽と歩いて来る、男の子が一人。
途端に女子が色めき立つ。……織生を除いて。
「悠希誠です。よろしくお願いします。」
「きゃあ~!!イケボよ~!」
「超上玉!!!!」
「イケメンずりぃ!!!」
確かに、誠は俗にいうイケメンだ。
それにしても、このクラスのテンションは異常だ。…織生を除いて。
「ああもう、静かにしろよ。
じゃあ誠君、君は織生さんの隣だ。」
この瞬間、織生は自分の席が一番後ろな事を恨んだ。
あぁもう、面倒だ。
織生はそう思って仕方なかった。