落ちてきた天使
時刻が夜7時を過ぎると、一気に店は混み始めた。


常に三、四組は外で待ってる状況だ。


席が空けば新しいお客様を誘導し注文を取る。
注文を取ってる間に他のお客様の注文の品が出来上がってすぐに配膳。
またまたその間に会計待ちのお客様が並び、空いた席をすぐに片付けて新しいお客様を誘導……
空いた時間で皿洗いもする。
外を見れば、さっき並んでるお客様がゼロになったと思ったのに列が出来ていて。


とにかく、息つく暇もない。


回転率が良い分、思っていた以上にハードな仕事だ。





「疲れた……」



あっという間にバイトが終わる時間になった。


私は奥にある畳の部屋でぐだっと机に突っ伏した。



ここは休憩部屋だ。四畳ほどの広さがある。


四人用のこたつ机と小さめのテレビが置かれていて、ここにバイトの間荷物を置いておく。



「ふふ、お疲れ様。大変だったでしょう」



女将さんが冷たいお茶を淹れてくれて、それを一気に喉に流し込んだ。



「結構体力勝負ですね」

「若いんだもの。慣れれば平気よ」



女将さんの笑顔は優しい。ホッとする。
疲れた心も、その笑顔に癒されていくのがわかる。



「あれ?洋平は?」

「ああ、今七名のお客さんが入ってね、手伝ってもらってるのよ」



金曜日のラーメン屋は夜10時以降も客足は絶えない。


ピーク時よりも少なくはなるけど、それでも店の半分から三分の一は埋まるらしい。


それは、飲み会の後にラーメンを食べに来るサラリーマンや大学生が多いからだ。




< 100 / 286 >

この作品をシェア

pagetop