落ちてきた天使
「無理。彩を一人にするなんて出来ない」

「またそれ?私高校生だよ⁈春には卒業して社会人になるし、いつまでも子供じゃない」

「は?待てよ。お前、就職するつもりなのか?」

「そうだよ。前は大学行くつもりだったけど、今はそんな状況じゃない。勉強したいなら働きながらでも出来るし」



そもそも何?私を一人に出来ないって。


皐月は私の親?私は皐月の子供?


いつまでも子供の私じゃない。
まだ法律的には子供かもしれないけど……


でも、私には親がいない。
自分で立たなきゃいけないの。



寝耳に水の話に声のボリュームが上がる皐月。
私も負けじと声を張る。



「大学行きたいなら行けばいいだろ⁈学費のことが心配ならーーー」

「ストーップ!そこまで!」



皐月が前のめりになって息巻く中、大きな手が私と皐月の間を遮った。



「何だよ⁈」
「何ですか⁈」



二人の声が重なる。
勢いよく振り向くと、中垣さんはプッと吹き出した。



「お前ら仲良いのか悪いのかわからねぇな」

「何処をどう見たら仲良く見えるんですか⁈」

「まぁまぁ、彩ちゃん。落ち着いて」



落ち着いてなんていられません!


なんて傲慢なの⁈
分からず屋だし聞かん坊だし。


こんなんで結婚とか、本当にあり得ない。


この間の返事はNOよ!
NOなんて言わせないって言ってたけど、絶対に言ってやるんだから。





< 112 / 286 >

この作品をシェア

pagetop