落ちてきた天使
私って本当に現金なやつだと思う。


さっきまで寂しくなったり不安になったりしてたくせに、皐月の存在を感じた途端に今までの感情が嘘のように心が躍った。


この気持ちの正体に気付いちゃいけないのに、気付いてしまいたくなる。



「やっと来たな」



中垣さんがニヤッとガキ大将のような笑みを浮かべて言うと、皐月が盛大な溜め息を吐いた。



「やっとって、お前が俺を閉じ込めたんだろうが」

「え?閉じ込めた?」



中垣さんが皐月を?一体どういうこと?



「悪かったって。でも、元々はお前が意地張って彩ちゃんを一人で帰らすのが悪い」

「だからすぐ追い掛けようとしたのに、お前が無理矢理トイレまで連れてって個室に閉じ込めたから」



ちょ、ちょっと待って‼︎


トイレの個室に閉じ込めたっていうのも気になるけど、それはもうこの際後回し!



「皐月…すぐ追い掛けようとしてくれたの?」

「当たり前だろ。いくら喧嘩したって彩を一人で帰らせたりしない」



う、嘘でしょう……?


じゃあ何?
私は無駄に寂しさを味わってたってこと?




< 118 / 286 >

この作品をシェア

pagetop