落ちてきた天使
「ーーー好き……っ」



呟くように、初めて言葉にした気待ち。


一度解放すると、それは止めどなく溢れた。



「聞こえない…」



意地悪な人。


聞こえてるくせに。


私を見つめる瞳が熱を帯びて、もう一度言えと急かしてくる。



心臓が口から出そうなぐらいドキドキしてる。
喉がカラカラでうまく言葉を発する自信がない。


だけど、激しく沸き起こった感情を自分の中に閉じ込めておくなんて出来ない。


伝えたい……
全部、私の気持ちを。



「皐月が、好きっ……大好ーーーんっ…!」



私の人生初めての愛の告白は、熱く柔らかい唇に言葉ごと飲み込まれた。


啄むような少し強引なキス。


息継ぎもままならない。経験がない私には、それを受け止めるのがやっとなのに、耳を塞ぎたくなるような水音が私の熱くなった胸を更に高揚させた。


頭がぼぅっとしてくる……
一瞬出来た隙間で息を吸うも、すぐに塞がれて。攻めるようなキスに、とうとう足の力を奪われた。


膝から崩れ落ちそうになるのを、「おっと」と皐月が抱きとめる。



「悪い……我慢出来なかった」



全神経が敏感になってるのに、耳元で熱い吐息を吐かれて平気なわけがない。


背筋が甘く痺れて、私は皐月の胸に自分を委ねた。





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