落ちてきた天使
その後、施設長にアパートの事後処理をしてもらうと、施設で今後の相談をすることになった私は懐かしい古巣に足を踏み入れた。


ここに来るのは10年振りだ。
まさかまたここに来ることになるなんて思ってもみなかった。



「困ったわねぇ」



施設長が机に肘を付いてため息を漏らした。


頭を悩ます原因はもちろん私だ。


今日入居予定のアパートは床が抜け落ちてしまった為、当然住めなくなってしまった。


不動産屋に同じぐらいの家賃で今日から住める所がないか聞いても、さすがに都合良くあるわけもない。


一番良いのはアパートが見つかるまで施設に置いてもらうことなんだけど、施設は今空き部屋がない。


つまり、私には行く所がないのだ。



< 15 / 286 >

この作品をシェア

pagetop