落ちてきた天使
「泣く時は俺の腕の中だけにしろ。これ、命令だから」
「うわぁ!綺麗……」
大太鼓のように鼓膜を震わせながら、夜空に色とりどりの花火が打ち上がる。
人生で初めて見る打ち上げ花火はまさに圧巻の一言で、予想を遥かに超える迫力と綺麗さに思わず感嘆の声を漏らした。
「独り占め、だ……」
なんでここの存在を忘れてたんだろう。
皐月が連れてきてくれたのは、高台にある芝生公園。私が大好きな場所だ。
この公園は、木に登らなくても町全体を見渡せる最高の立地。
当然、ビルや電信柱などの障害もなく、会場よりかは近くないけれど遠からず花火がよく見える。
賑わう会場でお祭りムードを楽しむのもいいけど、正直人混みはあまり得意じゃない。何にせよ、好きな人と二人きりで見られるなんて、これ以上の贅沢はないと思う。
それにしても、今日もここは全く人がいない。
なるべく近いところで見たくなるのが人間の性なのか、この公園が忘れ去られてるだけなのか。
皐月の言う通り、まさに“とっておきの席”だ。
「独り占めって、俺もいるんだけど?」
「うん。だから、独り占め」
格好良い皐月も紳士な皐月も、綺麗な花火を見て少年のようにあどけない笑顔の皐月も。
全部。私だけのもの。
「ん?どういうことだ?」と私の言ってる事に今一ぴんと来てない様子の皐月に、「内緒」とえへへと笑って返した。
皐月はわからなくていい。
これはただの私の我が儘だから。
今日、駅前で皐月と待ち合わせて改めて思い知ったことがある。
それは皐月が“モテる”ということ。
細身のパンツをロールアップして、白Tシャツの上にネイビーの七分袖サマージャケットを羽織ったカジュアルスタイルで現れた皐月を、頬を赤らめて見つめる女性が凄く多かった。
自然と集まる視線に皐月は気付いてないみたいだったけど、それだけでヤキモチを妬いてしまう私はまだまだ子供だと思う。
だから、“独り占め”。
やっと二人っきりになれて、皐月を独り占めしてることにちょっぴり優越感に浸ってしまっていたのだ。
大太鼓のように鼓膜を震わせながら、夜空に色とりどりの花火が打ち上がる。
人生で初めて見る打ち上げ花火はまさに圧巻の一言で、予想を遥かに超える迫力と綺麗さに思わず感嘆の声を漏らした。
「独り占め、だ……」
なんでここの存在を忘れてたんだろう。
皐月が連れてきてくれたのは、高台にある芝生公園。私が大好きな場所だ。
この公園は、木に登らなくても町全体を見渡せる最高の立地。
当然、ビルや電信柱などの障害もなく、会場よりかは近くないけれど遠からず花火がよく見える。
賑わう会場でお祭りムードを楽しむのもいいけど、正直人混みはあまり得意じゃない。何にせよ、好きな人と二人きりで見られるなんて、これ以上の贅沢はないと思う。
それにしても、今日もここは全く人がいない。
なるべく近いところで見たくなるのが人間の性なのか、この公園が忘れ去られてるだけなのか。
皐月の言う通り、まさに“とっておきの席”だ。
「独り占めって、俺もいるんだけど?」
「うん。だから、独り占め」
格好良い皐月も紳士な皐月も、綺麗な花火を見て少年のようにあどけない笑顔の皐月も。
全部。私だけのもの。
「ん?どういうことだ?」と私の言ってる事に今一ぴんと来てない様子の皐月に、「内緒」とえへへと笑って返した。
皐月はわからなくていい。
これはただの私の我が儘だから。
今日、駅前で皐月と待ち合わせて改めて思い知ったことがある。
それは皐月が“モテる”ということ。
細身のパンツをロールアップして、白Tシャツの上にネイビーの七分袖サマージャケットを羽織ったカジュアルスタイルで現れた皐月を、頬を赤らめて見つめる女性が凄く多かった。
自然と集まる視線に皐月は気付いてないみたいだったけど、それだけでヤキモチを妬いてしまう私はまだまだ子供だと思う。
だから、“独り占め”。
やっと二人っきりになれて、皐月を独り占めしてることにちょっぴり優越感に浸ってしまっていたのだ。