落ちてきた天使
「教えてやろうか。俺がお前に関わる理由」
ーーーなんでこんな事になってるんだろう。


背中に当たるのは固く冷んやりとした壁。


私は下着姿で、今から着ようと思っていたTシャツで胸元を隠している。



目の前には眉目秀麗な顔。


間近で見ると、やっぱり綺麗だ。
ここまで整っている人に出会ったことない。


しかも、その目や口元は艶やかな甘い笑みを浮かべていて、こんな危険な状況でも見惚れてしまうほどだ。



逃げようにもここは脱衣所という小さな密室。逃げ場はない。


それに加え、世間で一時騒がれた壁ドンっていうやつをされて、私は完全に檻の中のうさぎ状態だ。


多分、恥ずかしさで顔は真っ赤。
膝なんか激しい緊張で小刻みに震えまくってる。


ああ!もう!
どうしてもっと警戒しなかったんだ!


言われるがままにここまでついて来て、今日会ったばかりの男性の家で簡単に服を脱ぐなんて!浅はかすぎだっ‼︎


自分の警戒心の低さに怒りを通り越して呆れてしまう。



「何?お前、緊張してんの?」



ふっ、と鼻で笑う失礼な無神経男ーー、松永皐月。


カッと頬が熱くなって、Tシャツを更にギュッと強く握り直した。





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