落ちてきた天使
無理矢理声を高くして何とも無さそうに話す皐月の姿に胸が痛む。
こんな時、もし逆の立場なら、皐月は上手いこと言って私の心を軽くしてくれるだろう。
現に皐月には沢山助けられてる。
何度皐月の言葉に救われてきたかわからない。
でも、私は……
こんな時に何も言えない自分が嫌い。
「施設に入って不幸だったとは思わない。施設長も職員もいい人ばっかだったし、入所してる子供達は弟や妹みたいに可愛かった。それに、彩に会えたし」
「皐月…」
今まで辛そうな表情をしていた皐月に、ほんの少し笑顔が戻った。
私との出会い。
それは辛い状況の中で笑顔になれるぐらい皐月にとって大きい事だったんだって思うと、胸が熱くなる。
「流石に出会った時はまだ彩も小さかったし恋じゃなかった。特別な妹って感じ」
「てっきり皐月はロリコンなんだと思ってたよ」
私の冗談に笑って「やめろよな、マジで」と返す。
いつも通りの反応にホッとした。
辛い顔をした皐月を少しでも元気にさせたくて言ったロリコン話だったけど、逆に私が救われた気がした。
皐月はコホンとわざと咳払いすると、話を元に戻した。
「彩が引き取られた後、俺は高校卒業と同時に施設を出て大学に進んだ。奨学金もらってバイトしながら勉強して、今の会社に就職して。彩のことはずっと引っかかってはいたけど、仕事が忙しくなってきて会いに行くにも行けず気が付いたらあっという間に数年が経ってた。そんなある日だ、施設長から彩が帰ってくるって聞いたのは」
こんな時、もし逆の立場なら、皐月は上手いこと言って私の心を軽くしてくれるだろう。
現に皐月には沢山助けられてる。
何度皐月の言葉に救われてきたかわからない。
でも、私は……
こんな時に何も言えない自分が嫌い。
「施設に入って不幸だったとは思わない。施設長も職員もいい人ばっかだったし、入所してる子供達は弟や妹みたいに可愛かった。それに、彩に会えたし」
「皐月…」
今まで辛そうな表情をしていた皐月に、ほんの少し笑顔が戻った。
私との出会い。
それは辛い状況の中で笑顔になれるぐらい皐月にとって大きい事だったんだって思うと、胸が熱くなる。
「流石に出会った時はまだ彩も小さかったし恋じゃなかった。特別な妹って感じ」
「てっきり皐月はロリコンなんだと思ってたよ」
私の冗談に笑って「やめろよな、マジで」と返す。
いつも通りの反応にホッとした。
辛い顔をした皐月を少しでも元気にさせたくて言ったロリコン話だったけど、逆に私が救われた気がした。
皐月はコホンとわざと咳払いすると、話を元に戻した。
「彩が引き取られた後、俺は高校卒業と同時に施設を出て大学に進んだ。奨学金もらってバイトしながら勉強して、今の会社に就職して。彩のことはずっと引っかかってはいたけど、仕事が忙しくなってきて会いに行くにも行けず気が付いたらあっという間に数年が経ってた。そんなある日だ、施設長から彩が帰ってくるって聞いたのは」