落ちてきた天使
私、性格ブスかも。
特に佳奈恵さんには、ってどれだけ嫉妬深いんだろ……


今まで人を好きになったことなんてなかったから、自分が嫉妬深くて独占欲強くて恋愛にどハマりするタイプだって知らなかった。

まさか皐月のことになるとこんなにも感情のコントロールが上手く出来なくなるなんて……



「ねぇ…皐月……?」



醜いドロドロした私の心の声。
皐月にだけは知られたくない。

心の中だけに留めて、何としてでも隠し通さなきゃいけない。なのに……



「佳奈恵さんは皐月の色んな顔……見てるん、でしょう……?」



自制心よりも嫉妬心の方が上回ってしまった。



やっちゃった……抑えきれなかった。
こんなこと言うつもりなかったのに言ってしまった。

嫉妬剥き出し。バカ丸出し。
こんな醜い心の女なんて、面倒過ぎてウザいだけじゃん。

そう思うのに、止まらない。



「私だけが知ってる皐月ってどこからどこまで?佳奈恵さんにもこうやって甘えたりするの?」



皐月が身体を強張らせたのを感じた。

やっぱり、突然私が変な事を言い出したからビックリしてるんだと思う。

私の醜い心を知って皐月は何て思うだろう…

言ってしまった後悔とドロドロの感情で押し潰されそうになった時。



「舐めんなよ」



皐月が私の肩を掴んで勢いよく引き離すと、顔を覗き込みながらやや怒ったような掠れた声で言った。


重なる視線。
皐月の強い瞳が真っ直ぐと私を射抜き、金縛りにあったように動けなくなった。



「俺が好きなのはお前だって言ってんだろ!」

「っっ」



語気を強めたストレート過ぎる皐月の告白に鼓動が苦しいくらい跳ね上がった。



「俺が笑ってられんのも、弱い所を見せられんのも、全部お前の前だけだ」

「さ、つき……」



なんでこんな不安になってるんだろう…
嫉妬して、勝手に押し潰されそうになって。

馬鹿みたい。
だって、皐月はこんなにも私を想ってくれてるのに……



「悪い、俺が不安にさせてんだよな」

「違う…私が勝手にヤキモチ妬いてるだけで」





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