落ちてきた天使
「でも、結局皐月に力を借りちゃった」



皐月が側にいてくれるから出せた結論。
もし、皐月がいなかったら、やっぱり私は逃げてたと思う。



「早く大人になりたいのに……私はまだまだ子供。何一つ満足に出来ない」



一人では何も出来ない無力な私。
少し背伸びをしてみたけど、やっぱり子供は子供で、誰かの力を借りないと私はまだまだ生きていけない。


ため息を吐いて肩を落とす。
すると、皐月が私の頭をぽんっと撫でた。



「早く大人になれって言ったけど、焦らなくていい。俺はいつまでも待つから」

「皐月」

「それに、俺だってこの歳で一人じゃ何もできない」

「え…?」

「俺の方がお前から力をもらってる。仕事で嫌な事があっても、家で彩が待ってるって思うだけで乗り切れる。でも、それでいいんじゃないか?人間は一人では生きていけない。一人で生きていける、何でも一人で出来るなんて言う奴は、誰かに助けられて支えられてることに気付いてないだけだよ」



目を細めて、ふっと笑う皐月。

胸がじんわりと暖かくなっていく気がした。
皐月の言葉に、私はいつも救われる。

皐月の言葉は、魔法のように優しい。



「うん…そうかもしれない」



私は皐月に支えられてる。
それと同じように私が皐月を支える存在になれてるんだ……



「ほら、帰るぞ」



そう言って皐月が差し出した手に自分の手を絡ませる。


皐月の温もりって、なんでこんな癒されるんだろう。

幸せだ……

涙が出ちゃいそうになるぐらい、幸せだ。





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