落ちてきた天使
洋平の言葉にコクンと大きく頷く。


ある。おおいにあるのだ。



昨日、そのことで皐月と喧嘩をしたばかり。


喧嘩と言っても、勝手に私が怒ってるだけなんだけど。



だって皐月ったら、生活費なんていらねぇ、だなんて訳がわからないこと言うんだもん。


お前はそんなこと心配すんな、ってさらっと微笑んで言うけど、私は心配だから言ってるんじゃない!



もともとアパートを借りて一人暮らしするつもりだった。


バイトして生活費稼いで。


足らない分は遺してくれたものを少しずつ崩して。


皐月の家に置いてもらえることになった時も、当然そういうことはきちっとするつもりでいた。



なのに、いらねぇって……


どこまで私を甘やかし倒せば気が済むんだろう……



ここまで甘やかされると、逆に居心地が悪いというか……凄く窮屈だ。



『とにかくバイトしないといけないの』



また拒否られるかもしれない。


だけど、受け取ってもらえないなら皐月の家にはいられない。いるつもりもない。



昨日は聞く耳持たない皐月にムカついて話は出来なかったけど、そのことをちゃんと伝えようと思ってる。



詳しくは聞いて来ない洋平。


ふ〜ん、と納得したように頷いた後、『なら紹介しようか?』とおにぎりを頬張って若干何を言ってるかわからない口調で言った。





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