落ちてきた天使
ピザは20分程で届き、遅くなってしまった夕食を食べながら皐月がビールをグイッと喉に流し込むと、話の脈絡なく「それで?」と聞いてきた。
「ん?」
「洋平に紹介してもらったってどんなバイト?」
ああ、その事か。
そういえば、その話はまだ途中だったんだ。
「えっとぉ…」
どうしよう。
本当のことを言うべきなんだろうけど…
皐月はかなりのヤキモチ焼きだ。
洋平と仲良くしてると、何故か敏感に反応するし。
洋平と同じバイトなんて言ったら、また機嫌が悪くなるかもしれない。
「中華レストラン、かな」
「中華?駅近の?」
「そう…ウエイトレスなの」
一応、嘘は言ってない。
ラーメンは中華だし、店は駅の近くにある。
ウエイトレスなんて格好いいものではなく、ホール係。服装も私服又は学校の制服の上にエプロンをする程度だけど。
皐月が言ってる店は、駅近と言っても天下一とは反対側のファミレスのことだと思う。
「どれぐらい働きたいんだ?」
「週5の予定」
月曜日と火曜日はお店が定休日だから必然的に私も休みになる。
本当は毎日働きたいところだけど、こればっかりは仕方がない。
「受験生なのに働き過ぎじゃないか?週3日でいいだろう」
「それじゃ全然稼げないもん」
天下一の営業時間は、昼の部が11時から14時。
休憩を挟んで、夜の部が17時から始まる。
私達は高校生だから22時までしか働けない。
平日は学校があるから夜の部のみ。
休日は一日通しで働かせてもらう予定だ。
週3日働いたところで稼げるのはお小遣い程度もいいとこ。週5じゃないと意味がない。
私の場合は生活費と、あわよくば将来のために一円でも貯金したいからそれだけじゃ足らないんだ。
「稼げないって、月にどれだけ稼ぐつもりだよ」
「最低でも私が住む予定だったアパートの家賃プラス光熱費と食費」
家賃は1Kで2万5000円、この辺では一番安かった。
あとは光熱費と食費合わせて4〜5万円ぐらいだとして、大体7万〜8万ぐらいは皐月に受け取ってもらいたいと思っていたところだ。
だけど、バイトだけでは正直キツイ。
だから、高校生のうちは遺してくれたものを足りない分だけ少しずつ崩してやっていくつもりでいた。
「はぁ⁉︎そんないらねぇって」
皐月は私が提案した額を聞くと、眉間にくっきりと深い皺を作った。
こういう反応されるってわかってた。
だけど、私にもプライドだってあるし、ケジメだってちゃんとつけたい。
「受け取ってもらえないなら此処にはいられない」
「は?」
明らかに目を丸くする皐月。
それに追い打ちをかけるように「了承を得られないなら明日にでも出て行きます」と言うと、「待てよ」と皐月が慌てた声を出した。
「わかったから。生活費、ちゃんと受け取る」
はあぁぁ〜と、長い溜め息を吐くと、皐月は額に手を当てる。
参った、と言わんばかりの反応だ。
ふふふ。読み通り。
皐月のことだから、私がああ言えば諦めると思った。
どんぴしゃな皐月の行動に、頭の中でよし!っとガッツポーズをした。
「ただし、条件がある」
「条件?」
「受け取るのは食費と光熱費の一万のみ。家賃はいらない」
「なんで⁉︎」
今度は私が動揺する番だ。
新築みたいに綺麗な南向きの部屋、風呂、トイレ、洗面台、冷暖房完備。
セキュリティー万全、エレベーター付。
食費と光熱費合わせて一万でも安いと思うのに、更にこんな最高な物件で家賃がいらないなんてあり得ない‼︎
「ん?」
「洋平に紹介してもらったってどんなバイト?」
ああ、その事か。
そういえば、その話はまだ途中だったんだ。
「えっとぉ…」
どうしよう。
本当のことを言うべきなんだろうけど…
皐月はかなりのヤキモチ焼きだ。
洋平と仲良くしてると、何故か敏感に反応するし。
洋平と同じバイトなんて言ったら、また機嫌が悪くなるかもしれない。
「中華レストラン、かな」
「中華?駅近の?」
「そう…ウエイトレスなの」
一応、嘘は言ってない。
ラーメンは中華だし、店は駅の近くにある。
ウエイトレスなんて格好いいものではなく、ホール係。服装も私服又は学校の制服の上にエプロンをする程度だけど。
皐月が言ってる店は、駅近と言っても天下一とは反対側のファミレスのことだと思う。
「どれぐらい働きたいんだ?」
「週5の予定」
月曜日と火曜日はお店が定休日だから必然的に私も休みになる。
本当は毎日働きたいところだけど、こればっかりは仕方がない。
「受験生なのに働き過ぎじゃないか?週3日でいいだろう」
「それじゃ全然稼げないもん」
天下一の営業時間は、昼の部が11時から14時。
休憩を挟んで、夜の部が17時から始まる。
私達は高校生だから22時までしか働けない。
平日は学校があるから夜の部のみ。
休日は一日通しで働かせてもらう予定だ。
週3日働いたところで稼げるのはお小遣い程度もいいとこ。週5じゃないと意味がない。
私の場合は生活費と、あわよくば将来のために一円でも貯金したいからそれだけじゃ足らないんだ。
「稼げないって、月にどれだけ稼ぐつもりだよ」
「最低でも私が住む予定だったアパートの家賃プラス光熱費と食費」
家賃は1Kで2万5000円、この辺では一番安かった。
あとは光熱費と食費合わせて4〜5万円ぐらいだとして、大体7万〜8万ぐらいは皐月に受け取ってもらいたいと思っていたところだ。
だけど、バイトだけでは正直キツイ。
だから、高校生のうちは遺してくれたものを足りない分だけ少しずつ崩してやっていくつもりでいた。
「はぁ⁉︎そんないらねぇって」
皐月は私が提案した額を聞くと、眉間にくっきりと深い皺を作った。
こういう反応されるってわかってた。
だけど、私にもプライドだってあるし、ケジメだってちゃんとつけたい。
「受け取ってもらえないなら此処にはいられない」
「は?」
明らかに目を丸くする皐月。
それに追い打ちをかけるように「了承を得られないなら明日にでも出て行きます」と言うと、「待てよ」と皐月が慌てた声を出した。
「わかったから。生活費、ちゃんと受け取る」
はあぁぁ〜と、長い溜め息を吐くと、皐月は額に手を当てる。
参った、と言わんばかりの反応だ。
ふふふ。読み通り。
皐月のことだから、私がああ言えば諦めると思った。
どんぴしゃな皐月の行動に、頭の中でよし!っとガッツポーズをした。
「ただし、条件がある」
「条件?」
「受け取るのは食費と光熱費の一万のみ。家賃はいらない」
「なんで⁉︎」
今度は私が動揺する番だ。
新築みたいに綺麗な南向きの部屋、風呂、トイレ、洗面台、冷暖房完備。
セキュリティー万全、エレベーター付。
食費と光熱費合わせて一万でも安いと思うのに、更にこんな最高な物件で家賃がいらないなんてあり得ない‼︎