お姫様はメイド服!?
「だから,俺がいるんじゃないですか…。
カグヤを守るために,俺がいるんです。」

ニッコリ微笑むレオンから,顔を逸らす。

「あの時,あたしがどんな思いだったかも分からないくせに…」

ゴシゴシと,涙を拭く。

「その言葉,そっくりそのまま返しますよ。
あなたこそ,分かっていない。
俺が,どんな気持ちだったかを」

カグヤは,背伸びをして,大きく息を吐いた。

「ごめんなさい…」

負けず嫌いなカグヤは,小さな声で呟く。
それを聞いたレオンは,肩を揺らして笑った。

「何笑ってんのよ!」

カグヤは,レオンを睨む。が,その目は緩み,大きくなっていく。

カグヤの視界には,茶色髪とその中から覗かせる耳。
その向こうには,空しか見えない。

唇には,温かなものが振れている。
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