お姫様はメイド服!?
「まったく…」

久王が出て行き,ラビーは1人,溜め息をついた。

「あの人は,本当にバカ…」

ギュッと,返してもらった指輪を握った。

「私より,妻を選んで…」

本当に…バカ…

「この指輪にも気付かないなんて…
もう,忘れちゃったのかしら…」


『ラビー,これをやるよ。』

『何?これ…』

『日本で言う,婚約指輪だ。』

『コンニャクユビワ?』

『お前はバカか!
コンニャクを指輪にしてどうする!
婚約指輪だって!
結婚は出来ないけど…離れていても,ずっと一緒って意味だ。』

『ずっと?』

『そう!ほら,俺も持ってる。
ペアルックだな!』

『あなたは,本当にバカね!』


「本当に…バカね…」

あの頃の私の口癖。
久王に言うのが好きだった。

ポタッと何かが手の甲に落ちる。

「何年振りかしら…
涙なんて流すの…」

クスッとラビーは笑った。
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