お姫様はメイド服!?
彼が帰る日まで,私は一歩も歩かなかった。

せめて歩くのは,トイレとお風呂の時だけ。

それ以外は,ベッドの中でいつまでも泣き叫んでいた。

この部屋が防音じゃなかったらよかったのに…
そしたら,泣いている私の元に,王子様が来てくれるのに…
そしたら,考え直した彼が,私の元に来てくれるのに…

何日過ぎたか分からなくなった頃,やっと王子様が来てくれた。

私の顔を見るなり,泣きそうな顔をして,

「お前はバカだ…」

って,私の口癖を言った。

「俺を置いて行けるような女になれ…
俺なんかのために泣くような女にはなるんじゃねーよ…」

その時の彼の表情は見えなかった。
でも,見なくても分かる。
眉間に皺を寄せて,辛い顔をしていたんだ。
< 187 / 240 >

この作品をシェア

pagetop