お姫様はメイド服!?
「今日は何を作ってくれんだ?」

女は人差し指を口に当て,内緒と言っているようだった。

昨日と同じ席について,キッチンに向かう女の後ろ姿を見る。
短い髪が,サラサラと揺れ,白くて細い腕が,トントンと包丁を鳴らしていた。

「お前,ちゃんと飯食ってんのか?
しかも,貧乏のくせに,日に焼けてないのな!」

ピタッと止まる女。

俺,変な事言ったか?
あ…シカトされた…。

仕方なく,黙って待つ俺。

ふぁぁぁー

何か眠くなってきたなぁー
ちょっとだけ…寝よっかな…

って…
俺は,人の家で寝ちまったんだ。
初めて,人の家で爆睡した。
それだけ,マーラを信用できるって認めてたんだ。

でも,俺は知らなかった。
俺に背を向けているマーラの表情を…
俺が寝ている間に,マーラが…

何をしていたのかを…
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