お姫様はメイド服!?
ん…
揺らされてる??

目を開くと,不安そうな顔の女。

クスッと笑って,起き上がった。

「何不安そうな顔してんだよ!」

俺がそう言っても,女の表情は変わらない。

「お!飯だ!うまそー♪」

こんな風に,空気を明るくしようって事も,普段の俺にはない事。

「いっただっきまーす♪」

そう口に運ぼうとした時だった。

「食べちゃダメ!!!!」

バシッと,手をはたかれる。

「え…」

俺は,驚いて女を見た。
女は,眉間に皺を寄せて,目に涙を浮かべている。

「お前…喋れるのかよ…」

手をはたかれた事よりも,料理が落ちた事よりも,俺は女が喋った事に驚いた。

「逃げて…」

「は?」

「今すぐこの家から出て行って!」

何が何だかわからない俺は,女に押されながらドアに近付いていく。
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