お姫様はメイド服!?
ピチャン…

水のような物が,俺の鼻の上に落ちた。

「っつ…」

目を開けると同時に,頭がズキンと鳴る。

「ここは…??」

さっきまでの事を思い出し,辺りを見回す。
城か…
しかも牢屋。

カビ臭くって,俺は鼻を押さえた。

カツン…カツン…

その時,誰かの足音がして,俺は急いで横になる。
つまり,寝たふりだ。

「ランシャー様…」

その声に,うっすら目を開ける。
そこには,使用人服を着たあの女がいた。

「ランシャー様…起きてください…」

俺は,ゆっくりと起き上がり,女を睨んだ。
女は,眉を垂らし,悲しそうに微笑む。

「あなたをここから出します。」

小さな,顔に似合わない低い声で,女はそう言った。

ギギィ…

錆びた音が,牢屋内に響く。
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