お姫様はメイド服!?
俺は警戒して,女を見たまま動かなかった。
耳を澄まして,気配を探る。

そんな俺を見て,女は溜め息をついた。

「あたしが言える事じゃありませんが…
あたしを信じてください…」

ジッと,女の目を見る。
どこか悲しげに見える女の目。

周囲に人の気配はなかった。

「これが最後だ…」

俺は,ゆっくり立ち上がった。

「ついてきてください…」

「あぁ…」

光の方に走る女。
俺は,女の後ろをついていった。

いつもの俺なら,1度あんな事があったら,絶対にもう一度信じる…なんて事はなかった。

俺達は,無言で走った。
言葉一つ交さず,大きな扉の前についた。

ずっと走っていたから,女は肩で息をしていた。
まぁ,俺様は天才だから,そのくらいじゃ息なんて上がらないけど…。
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