お姫様はメイド服!?
「ここが出口です。
馬を準備しておきました。
真っ直ぐ走れば,あの町に着きます。」

「お前は?」

そう聞く俺に,女は満面の笑顔で俺を見上げた。

「あたしは大丈夫!
あなたは,今すぐ逃げて?」

女の笑顔に安心した俺は,勢いよく扉を開けた。
すぐそこに馬がいて,それに飛び乗る。

少し考えて,振り向いた。

「乗れ…」

「え?」

ゆっくりと手を女に向け,もう一度,同じ言葉を繰り返す。

「乗れ…。もし,俺を逃がした事がバレたら,お前は死刑になるかもしれないんだぞ?」

そう。バレないはずがない。
俺1人が帰れない。
ううん…違う…。
一緒に来てほしいんだ…。
俺は…こいつが…

「ダメよ」

「え…」

「言ったでしょ?
あたしは大丈夫だって…
あの人達に,あたしは殺せない。
だって,あたししかいないの。
あなたにしたように…人を騙す者は…」

下を向く女。
俺は,伸ばした手をしまい,たずなを掴んだ。
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