お姫様はメイド服!?
やっぱり,家に女はいなかった。
女のいないボロ家は,さらにボロさを増した気がする。

「ここに何かあるんですか?」

ジッとボロ家を見つめる俺に,レオンが聞いてきた。

「干渉しないんだろ?」

「そうでした」

ったく…

こんな嫌味な奴が,あんなに爽やかになるんだからおもしろいよな?

その時,近くを歩いていた人間の男2人の会話が,耳に入ってきた。

「知ってるか?
そこに住んでた女。
本当は,隣の隣の国のスパイだったんだと!」

「マジかよ!あんな可愛い子が?」

「マジ。しかも,そいつ,仕事に失敗したせいで,死刑だってよ?」

「死刑?ざまーみろだな!………うわ!!!!!!!!」

気付いた時には,俺は1人の男をぶん殴り,1人の男の胸倉を掴んでいた。

「ランシャー!!!!」

レオンに呼ばれ,我に返った俺は,パッと男を離した。
大きな音をたてて,その場に倒れる男。

こんな事してる場合じゃない。
俺が殴んなきゃいけねーのは,こいつ等じゃねー…。

ハナマ国の王だ─。
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