お姫様はメイド服!?
「じゃー,カグヤチャン?
目を瞑って思い出すの。
大切な思い出を。」

カグヤは,言われた通り,目を閉じて,たくさんある思い出の内,一つを思いだした。


中学の卒業式の日。
涙ながらに校歌を歌い,卒業証書をもらった事。
退場の時に,家族席を見ると,泣いている母と父がいた事。
友達と,笑いながら別れた事。


「思い出したら,手を前に翳して,手の先に集中するの。」

ギュッと目を瞑り,手の先に集中。
カグヤは,熱い物が,体中を周っている気がした。
その熱が,手の先に集まる。

「力を出す時は,それを押し出す感じで…」

カグヤは,大きく深呼吸して,手を前に突き出した。

「うわぁ!!!!」

近くで悲鳴が聞こえ,閉じていた目を開いた。
< 82 / 240 >

この作品をシェア

pagetop